2022.7.28【ご案内】オープンアクセス誌に投稿される際(ハゲタカジャーナル)の注意点について
ハゲタカジャーナル(粗悪学術誌: predatory journals)とは
オープンアクセス誌の出版モデルを悪用し、適切な査読を行わず、著者から論文投稿料(APC*)を獲得することのみを目的とする雑誌です。 研究者を食い物にするというイメージから
ハゲタカジャーナルと呼ばれ、オープンアクセス誌の普及とともに近年急激に増加し、社会的な問題となっています。ハゲタカジャーナルを発行している出版社は、権威のある雑誌によく似た名称を使用したり、許可を得ることなく著名な研究者を編集者としてウェブサイトに掲載したり、電子メールで論文投稿を依頼したりするといった方法で巧みにハゲタカジャーナルへ誘導します。
*APC Article Processing Charge。論文出版加工料などとも訳されます。
ハゲタカジャーナルに投稿して論文が掲載されると
- 適切な査読が行われていないため、どれほど優れた内容の論文であっても、正当に評価されない可能性があります。
- 著者や著者の所属機関の信頼や評価が低下する恐れがあります。
- 論文への長期的・安定的なアクセスが保証されず、いつの間にか掲載が消滅してしまう可能性があります。
- 投稿後に投稿撤回が認められず、他誌への再投稿がかなわないことがあります。
- 不当に高額な論文投稿料を請求されるなど、金銭的トラブルが発生するかもしれません。
ハゲタカジャーナルへ投稿しないために
ハゲタカジャーナルと健全なジャーナルとの境界は曖昧で、状況は常に変化しており、ある時点で完全に区別をすることは難しいとされています。
そのため、ハゲタカジャーナルであるかどうか見分けるために、これまで指摘されている次のような特徴のあるジャーナルに注意してください。
- 編集責任者や編集委員が明記されていない。
- ウェブサイトに出版社の名称や連絡先が明記されていない。
- あまりに短い査読期間(例えば数日〜1週間)で掲載の可否を通知するなどの文言がある。
- 論文投稿料についての詳細が確認できない。
- 電子メールで、投稿を執拗に勧誘する。
など
次のようなツールが、健全なジャーナルを選ぶ際の判断の目安として参考になります。
◎ホワイトリスト
〇COPE(Committee on Publication Ethics):出版倫理委員会
https://publicationethics.org/members
学術論文の出版規範を議論・制定し、世界の学術雑誌の編集者や出版社を支援する非営利組織
〇DOAJ(Directory of Open Access Journals):
https://doaj.org/
スウェーデンのルンド大学で2003年に開設、現在、Infrastructure Services for Open Access(IS4OA)が運営するオープンアクセス誌のもっとも有名なプラットフォームの一つ
〇QOAM(Quality Open Access Market)
https://www.qoam.eu/journals
オープンアクセス誌の論文投稿料や品質についての情報提供サイト
◎チェックリスト
https://thinkchecksubmit.org/check/
Think Check Submit「考えて、確認して、提示しよう」日本語版
◎Scopus(本学が契約中のデータベース)
https://www.scopus.com/sources.uri?zone=TopNavBar&origin=mylist
Elsevier社提供の文献データベース。採録のための審査を経たジャーナルが収録されています。
※上記ツールに収録されていないジャーナルが全て粗悪なジャーナルというわけではありません。
オープンアクセス誌に投稿される際にはハゲタカジャーナル(粗悪学術誌)にご注意ください。